あれはいつか

中学校

不安の中入った学校は途轍もなく恵まれた環境で、人間関係も上手くいっていた

孤独感を感じる事などなく、辛い朝も気分良く迎えることが出来た季節

明日時間があるならと、遊ぶ約束をしたり帰り際にゲームセンターに寄り道してはしゃいでいた

また機会があれば遊ぼうねなんて会話をしながら時は流れていく

吹き抜けの校舎の最上階で短い休み時間に、生徒手帳に記された10月の予定を友達と確認しながら秋風に吹かれ、これが青春だと確かに感じていた

心の廃れと疲れを感じ始めた2年目の夏

些細な事ではあると思うが、積年の思いを諭された瞬間だった

教師にお前は自分の殻に篭ってなにか自分ではない違うものを演じていると言われた

屈辱だとか怒りを大きく通り越し自分の気持ちは呆れで沢山だった

その日から酷く教師という存在を存在的観点から睨むようになった

だいたいお前達は何様なんだ

人格を確定する権利なんか何一つないし結局お前達は金を貰って動いているに過ぎないんだから、教育とかいう塵みたいな盾を使ってまで話し掛けてくるなと思った

考え過ぎずに適当にやり過ごせればそれが一番良いに決まってる

人間が健康状態であればそれ以上のことはもう無いし、必要も無い

すっかり疲れた少し前の梅雨に、自分の頭から忘れかけていた白い紫陽花を見かけた

記憶は曖昧だが確か花言葉に「寛容的」のような意味合いがあったと思う

生きる上において大切なことは人間を揶揄する事で無く、この白い紫陽花のように侘しいながらも寛容になって認める事だと思う